短歌仲間のページ

ご寄贈の歌集、または寄稿して下さった短歌等から
私の好きな短歌を選んでみましました。

このページをご覧になった皆様、
ご感想等ございましたら是非お聞かせください。
uzawa@shaw.ca

(new poem(s) added: October 22, 2010)



千倉町野菜 新鮮組で買う「安田よね」作トマト百円
(アメリカ/クリシュナ智子)

雪のへ に並ぶ足跡まろぶあと君との近さ示して残る
(北海道/大塚亜希)

イチ ロー巻とふ寿司の売らるるシアトルの野球スタジアム熱気に満つる
(アメリカ/楠見房子)

久びさ の銀 座の街並変りたり知らぬ町ゆく孤客の吾か
(東京/青木春枝)

五十年 耐え きし妻の顔仰ぐ身は縮めども瞳うつくし
(大阪/田辺東郎)

親猫の逝き てしのちに親猫に見立てられにし夫は忙し
(三重/松井勢津子)

エリー湖の水で両手を洗う朝かすみて岸のカナダは見えず
(アメリカ/青木泰子)

北風が 磨き 上げたるごとくにて冬青空も雪富士も冴ゆ
(神奈川/塩 野崎 宏)

仕上げ たる尺八を壊すいくたびか己をこはし己にいどむ
(三重/三浦太郎)
「島 歌」の聞こえるデイゴの木の下でアフリカ·マイマイゆっくり 登る
(神奈川/間ルリ)
ま向かいに見えるでないか本物のナイアガラの滝 妻よ見よ見よ
(三重/松井久雄)

ゴビ砂漠より来たりいづこへ向かへるか今わが髪を乱せし風は
(埼玉/結城文)

海のやうな夜のソファーに愛の行方を見極めむとしておぼれゆけり
(香川/兵頭なぎさ)

すみれ摘む心弾めりやがて来る友にと急ぎ花束ねつつ
(東京/小金井純子)

みごもれる友に桜餅持ちゆけば掴みて葉ごと美味そうに食む
(大阪/今西麻子)
人の世の秋にて会へば望みなき愛にてあれどかぐはしかりき
(埼玉/結城文)

事故と共に青春の記憶失くしたる妹が見下ろす鬼の洗濯岩
(宮崎/亀元幸子)

カモミールティーを冷やせり今夜こそ 心の刺を抜いてみようか
(東京/北久保まり こ)
アメリカに帰りたいけど独特のいぐさの香りあなたの香り
(滋賀/Kevin Stein)
スキー宿に語り明かしし君修道女となりて三十年モロッコへ発つ
(神奈川/八城スナ ホ)
忘れむと思えど浮かぶ亡き犬に代わり寄り添う幸という小犬
(カルガリー/ライ リー洋子)

おずおずと仰ぎたるわが決裁を上司は 碁石打ちつつ下す
(愛知/田中徹尾)
空と地はたいへん遠くわかれても水平線であえるのもある
(タイ/スパワン ソパチョット)

レシートの裏に書かれし短歌メモ逝き たる母の財布に残る
(バンクーバー/佐藤 紀子)

長きものはセロリも葱も銃として構へる幼の裡なる野生
(バンクーバー/菅原 美知子)

秋の蝶あのあのあのと我に来る もう少し高く飛んでくれぬか
(宮崎/岡本貞子)
囲炉裏ばた縄文杉まで行きしわれを祝ひてくるる島の人人
(埼玉/結城文)

ほぐれたる薔薇の蕾の朝露をなむるか蛙今日も暑いぞ
(三重/三浦太郎)

ほどほどとふ語を知りてより秋風のごと透明な枷をわが持つ
(神奈川/白岩裕子)

群集に無心に手を振る幼きは背なに負いたるものを知るごと
(長崎/倉垣小夜子)
やわらかな闇に包まれ眠る胎児(こ)は海から陸へとあがる夢見る
(愛知/武田ますみ)
熱気球ふくらむまでを野に待ちて白夜のただ中わが腕時計
(アメリカ/青木泰 子)
昼の月かかれる村の畦道をピザ配達のバイクがはしる
(山口/柳井靖子)
冬の夜の長い時間を過ごすためゆく注文の多い料理店
(山口/又野萋)
靴音に先駆け声の戻りたり女孫の夏のきらきらとして
(長崎/倉垣小夜子)
一人居となりて菜食中心の膳も一つの形を持ちぬ
(トロント/高山洋 子)

息子(こ)の一周忌すま ぬ我が家の庭に咲く鬼百合二本猛々しくも
(長崎/倉垣小夜子)

膝丈の雪洞を庭にこしらえて日暮れ待ちかね灯を差し入れき
(長野/河野千絵)

中世の闇降るごとく冷え冷えと霧降る国の辻よぎりゆく
(イギリス/渡辺幸 一)

答へられぬ学生に深く立ち入れば星選ぶやうに助詞選びをり
(宮城/大口玲子)

龍の字の凧青澄める空にありて子に名付けたき字と決め居たり
(神奈川/白岩裕子)

印画紙に焼き付けられし空と雲吾が残像の色を持ちえず
(東京/北山寛子)

届きたる木箱は故郷(さと)の吊し柿甘露甘露と粉吹きて食む
(モントリオール/中 谷好三)

丸まりてクイックターンにかへるときうす水色のあさがほ咲(ひ ら)
(山口/中川健次)

垣根より延びし藤蔓わたくしは掴まれさうで攫まれたくて
(山口/又野萋)

家康の伝記を借りし少年が忘れていったメッツの帽子
(東京/鈴木陽美)

目薬をささねばならぬ猫いとしドリトル先生猫語教えて
(三重/松井久雄)

さみしさを言ふ娘(こ)の 声に海底の雑音混じる国際電話
(埼玉/結城文)

瞬きが出来ぬと言ひて訝しむ少女の睫毛白く凍てつく
(バンクーバー/佐藤 紀子)

日本語の省きしものを補ひて訳せばかげれるものが逃げゆく
(茨城/川村ハツエ)

「イエス、ノー」臆せず言ふも習ひなり異郷に住みて長き年月
(トロント/高山洋 子)

ジーパンにリュックサックで空港に七十路の母ひらり舞ひ下る
(モントリオール/中 谷好三)

住みたれば都とぞいう人のいる桑名も吾にはそろそろ都
(三重/松井勢津子)

赤子の声響かうバスの運転手がマイク に唄うカナダの子守歌(ララバイ)
(バンクーバー/藤原 葉子)

「好きだよ」と君に言わせるために書くパールピンクのスピーチバルーン
(東京/鈴木陽美)

子の妻が日本語の「はい」を覚えたり歯切れ良き「ハイッ」優しき「はあ い」
(バンクーバー/佐藤 紀子)

きびしくも楽しき地球カナダ発鵜沢梢の歌待つわれは
(三重/松井久雄)

ドイツ語の動詞も君も常に吾を苦しめるその不規則変化
(スイス/洲崎歌織)

賜はりし神戸名物「いかなご」を食みをれば聞く遠き潮騒
(モントリオール/中 谷好三)

狩りをする友はオーロラながめつつ月 餅かじりて鹿待つという
(バンクーバー/藤原 葉子)


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