カナダのアカデミー賞と呼ばれるジニー賞。
2003年は、アトム・エ
ゴヤン監督の大作「アララトの聖母」が各賞を
総ナメしました。
日本でも、「エ
キゾチカ」、「 スウィート・ヒアアフ
ター」、「 フェリシア」などで
知られるアトム・エゴヤンは、ア
カデミー賞ノミネート、カンヌ映画祭で評論家連盟賞受賞など、各国で高い評価を得ているカナダを
代表する映画監督です。
エゴヤンの「スウィート・ヒアアフター」は、1997年にアカデミー監督賞、脚色賞にノミネートされました。山の中の小さな町で起きたスクールバスの転
落事故という衝撃的な事件が題材です。一見、穏やかに暮らす住民とよそから来て正義をつらぬこうとする弁護士の間に起きる葛藤。真実はつかめるのか?人を
傷つけてまで正義を貫こうとするのは、許されるのか?これらが実に淡々と描かれています。
映画全体に流れる統一された空気を味わうことの出来る名画です。
主役の女の子、サラ・ポーリーは、子役から活躍しており、TVドラマ「 アボンリーへの道」
のヒットで、良い子のイメージがあったが、成長する
につれて、
政治、哲学などに興味をもち、現在は、監督、プロデュースもしている成長株です。出演作は「 死ぬまでにしたい10の
こと」、「エキゾチカ」、「 写真家の女たち」
など。
映画通にカルト的人気なのが、デイヴィッド・クローネンバーグで
しょう。「 ザ・
フライ」、「 ビ
デオドローム」、「 ク
ラッシュ」、「イグジステンズ」など異色
の映画をいくつも撮り、そのたびに話題になっています。異色ホラー、残酷美などとも言われますが、単なるエンターテインメントではなく、反社会的な要素も
含んだ独特な美学の世界を描く監督です。
2003年ジニー賞で監督賞をとったクロネンバーグですが、この年の映画「スパイダー」は、ベスト映画賞にノミネートはされま
せんでした。映画監督とし
ての手腕は買うが、映画自体の異色な世界は、一般受けしにくいということでしょうか。
ケベックの新鋭デニ・ビ
ルヌーブ監督の「渦」は、魚がストー
リーを語るという手法、全編にわたる青の映像、水のイメージなど、不思議な感覚をもった映画です。カナダのジニー賞、トロント映画祭、モントリオール映画
祭で受賞するほか、ベルリン国際映画祭などで高い評価を得ました。
カナダ国内において、フランス語圏の映画が英語圏でも紹介されることは残念ながらそれほど多くないのです。多文化社会の国ではありますが、英語
とフランス語文化は必ずしも同時に存在していないという面があります。
そんな中で、数年前に画期的な試みとして注目されたのが、国営放送のCBCが製作したテレビドラマ「Last
Chapter」です。英仏両方の俳優を
使い、英語バージョン、フランス語バージョンの2つを同時に放送しました。 モーターサイクル・ギャング「ヘルス・エンジェルス」をモデルに、カナダ各地
で事件を起こす犯罪グループ内の抗争を描いたこのミニシリーズは人気で、続編も作られました。
こういった試みが増えて、フランス語映画も英語圏でどんどん同時上映されたらすばらしいなあと期待しています。

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